2026.06.09
スポニチアネックス
【宝塚記念】ミュージアムマイル 光馬体 トウショウボーイ以来49年ぶり年明け初戦Vできる輝き
◇鈴木康弘氏「達眼」馬体診断
鈴木康弘元調教師(82)がG1有力候補の馬体ベスト5をセレクトする「達眼」。春のG1シリーズを締めくくる「第67回宝塚記念」(14日、阪神)ではミュージアムマイル、メイショウタバル、クロワデュノール、レガレイラ、ダノンデサイルをピックアップした。中でも達眼が捉えたのは、昨年の有馬記念優勝以来の出走となるミュージアムマイルの毛ヅヤ。年明け初戦で宝塚記念を勝てば77年トウショウボーイ以来49年ぶり2頭目の快挙となる。
西日本各地に続き関東甲信、東海地方の梅雨入りが7日に発表されました。いずれも平年と同時期の梅雨入りです。暦の上で入梅は明後日(11日)。ほぼ暦通りに長雨の季節が始まりました。
濡れ馬、値千金。雨の日は濡れた馬体がしっとり美しく見えるとの意味です。濡れた被毛が体に張り付き、筋肉は浮き立つように映ります。逆に梅雨晴れの日は陽光を浴びて、きらきら美しく映えるものです。ところが、ミュージアムマイルの毛ヅヤは曇りの日でも美しい。雨のしずくも日差しもないのに黒鹿毛の被毛が漆黒の光沢を放っています。皮膚の内側からにじみ出てくるような輝き。よほど具合が良いのでしょう。
昨年の有馬記念以来の出走となります。今年3月に予定していたドバイターフは中東情勢を考慮して回避。4月の香港・クイーンエリザベス2世Cも遠征見送り。報道によると、香港渡航前の歩様確認(動画)で主催者に現地での検査をパスできないだろうと指摘されたとのこと。そんなアクシデントの影響も全く感じさせない馬体です。
健康な四肢には張りに満ちた筋肉が備わっている。相変わらずトモのボリュームも満点。肩や前胸の筋肉は前走よりも力強くなりました。有馬記念時には「これまでのG1馬体診断で見せたことがない鋭い目つきをどう受け取るか。私は闘争心の表れと受け取りたい」と述べました。当時と同じ闘志を宿した目をしています。両耳の間には前髪がこの季節のツユクサのように繁茂した野性味あふれる顔つき。ハミ受けも良い。昨年の皐月賞時には「立ち姿にもう少し力強さが欲しい」と注文を付けましたが、今では立ち姿にも十分な重量感があります。
休み明けとあって、さすがに腹周りは少し太めですが、今週の調教で引き締まるでしょう。腹周りが少し細く映った昨秋の天皇賞(2着)時よりも仕上げやすいはずです。筋肉が柔らかく、各部位のつながりに遊びがある中距離体形。2200メートル戦も望むところです。
年明け初戦で宝塚記念を制したのはトウショウボーイ(77年)だけ。こちらも前年の有馬記念優勝以来の出走だったそうです。雨のしずくも日差しもないのに光沢を放つ被毛。そのさえた毛ヅヤが49年ぶりの快挙を示唆しているのかもしれません。 (NHK解説者)
◇鈴木 康弘(すずき・やすひろ)1944年(昭19)4月19日生まれ、東京都出身の82歳。早大卒。69年、父・鈴木勝太郎厩舎で調教助手。70~72年、英国に厩舎留学。76年に調教師免許取得、東京競馬場で開業。94~04年に日本調教師会会長。JRA通算795勝。重賞27勝。19年春、厩舎関係者5人目となる旭日章を受章。