2026.09.11

レッドベルオーブ

今週末、阪神競馬場ではチャレンジカップ(GⅢ)が行われる。2022年、当時12月に行われたこのレースで、主導権を握ったのがレッドベルオーブだった。
栗東・藤原英昭厩舎のこのディープインパクト産駒は、福永祐一騎手(現調教師)を背に、最内1番枠からスタートを切った。そして、ハナに立つと、向こう正面では2番手に5~6馬身、2番手から3番手までもまた5~6馬身ほど差の開く大逃げを打った。そして、ラスト300メートルを切ってもまだ先頭を走り、見せ場を作った。
しかし、最後は残念ながら失速し、9着に敗れた。
 それでも、レース前、管理する藤原英厩舎のスタッフである田代調教助手は次のように語っていた。
 「短期放牧明けになりますが、ここを目標に乗り込んできました。小回りコースでリズム良く運べればチャンスはあると思います」
 もちろん、何の根拠もなくただ強がってそう語っていたわけではない。
 新型コロナウィルス騒動真っただ中の20年8月にデビューしたレッドベルオーブ。新馬戦こそ2着に敗れたが、続く未勝利戦では2着に3馬身半の差をつけて楽勝した。中京競馬場の芝1600メートルでの勝ち時計は1分33秒1。当時の2歳レコードのおまけ付きだった。
 こうして迎えたのがデイリー杯2歳S(GⅡ)。8頭立てで単勝オッズは1.3倍。圧倒的1番人気に推されると、道中は5番手を追走。最後の直線では豪快に伸びて先行勢をまとめて差し切り勝ち。2連勝で人気に応えたのだが、この時の時計は1分32秒4。当時の阪神競馬場、芝1600メートルの2歳レコード。つまり、2戦連続でのレコード勝ちを演じてみせたのだ。
 この時の新聞を見返すと、手綱を取った福永祐一騎手は次のようにコメントを出していた。
 「とても速いタイムが出やすい馬場状態だったので、速い時計の決着になると思っていました。それでも思った以上に厳しい戦いになり、走破時計も速くなったのによく対応してくれました。ただ、道中は初めて頭を上げるようなシーンもあったので、次への修正点として、厩舎の皆と話し合って改善していきたいです。この2戦は素晴らしい脚を見せてくれたし、この感じならGⅠでも活躍できると思います」
馬は本当に難しいもので、この後、思った通りの結果を残したとは言えなかった。それでも朝日杯フューチュリティS(GⅠ)3着、皐月賞(GⅠ)8着など、GⅠ戦線でそれなりに走り、22年には小倉日経オープンを優勝してみせたのだった。
(撮影・文=平松さとし)