2026.10.02

凱旋門賞のパリロンシャン競馬場について

10月の第一日曜日。今年は4日に行われる凱旋門賞(GⅠ)が、いよいよ目前に迫った。
 今年は、武豊騎手騎乗のメイショウタバル(栗東・石橋守厩舎)と、クリスチャン・デムーロ騎手の乗るアドマイヤテラ(栗東・友道康夫厩舎)が出走を予定している。JRAでは馬券も発売されるとあって、注目を集めている。
 舞台は、パリ郊外、セーヌ川沿いのブローニュの森にあるパリロンシャン競馬場。1857年に最初のレースが行われた格式高い競馬場で、2018年には黄金色の新スタンドがオープンし、華やかに生まれ変わった。
 ただ、見た目の華やかさとは裏腹に、タフなコースとしても有名だ。とくに凱旋門賞が行われる10月初旬は雨が多く、道悪での開催が少なくない。日本の競馬場と違って自然の地形を生かしているうえ、地盤も軟弱なため、ひとたび雨が降ると一気に時計がかかるようになる。そのため「スタミナ豊富なタフな馬が有利」と一般に評され、これが日本馬の苦戦の要因とも言われている。
 しかし、必ずしもそうとは言い切れないのが、パリロンシャン競馬場のひと癖もふた癖もあるところだ。
 たとえば、同競馬場の1400メートルで凱旋門賞と同じ日に行われるフォレ賞(G1)。そのレコードタイムは、2015年にメイビリーヴがマークした1分17秒05という速いものだ。この時だけが特別だったわけではなく、今から3年前の23年にケリーナが勝ったときの走破タイムも1分17秒17と速かった。
 同競馬場の1400メートル戦は、フォルスストレートとホームストレッチという2本の長い直線が緩やかなカーブでつながっているだけで、序盤は下り坂と、もともと好タイムが出やすい設定ではある。しかし、それでも1分17秒台という時計は、単純に重い馬場では出ない破格の好時計といえるだろう。
 実際、この競馬場を最もよく知る日本人ジョッキーの武豊騎手も、「歩いてみると、皆が口にしているほど長い芝丈ではありません」と語っている。
 さらにフランス競馬では、前半は折り合いに専念してスローな流れになることが多い。そうなれば、最後は瞬発力勝負になるのが道理だ。必然的に上がりは速くなり、スタミナ一辺倒の馬では置いていかれてしまうのだ。
 たとえば、このレースのディフェンディングチャンピオンで、今年も最有力視されているダリズ(F・H・グラファール厩舎)。前哨戦のフォワ賞(G2)では最後は流しながらのゴールという楽勝ぶりだったが、そのレースでの上がり3ハロンは、実に32秒57という切れ味だった。ちなみに、今春のガネー賞(G1)を制した際の上がり3ハロンは31秒台だ。
 日本馬にとって“鬼門”とも言われるパリロンシャンのターフは、実は日本馬の最大の武器である瞬発力が最も問われる舞台でもあるのだ。
 さて、今年はどんな結果が待っているだろうか。日曜日を楽しみに待ちたい。
(撮影・文=平松さとし)
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