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2025.05.28

スポニチアネックス

【日本ダービー】友道助手 父管理マカヒキVから9年…今度は自分の手がける馬で口取りを

 ◇疾走ミュージアムマイル(3)

友道優一調教助手が騎乗するミュージアムマイル

 「第92回ダービー」で史上25頭目の2冠制覇に挑む皐月賞馬の陣営に迫る連載企画「疾走ミュージアムマイル」。3回目は高柳大厩舎の攻め専(攻め馬専門)で同馬の調教パートナーを務める友道優一助手(29)を取り上げる。父はダービー3勝の康夫師。偉大な父の背中を追い、自身初となる大舞台に挑む。

 ミュージアムマイル、皐月賞V――。高柳大厩舎の従業員控え室にはレース結果を伝える新聞紙面が飾られている。同馬の調教を担当する友道助手は「厩舎も僕も初めてのダービー。皐月賞馬と挑めるのは凄く光栄なこと。皆の士気も高まって、いい雰囲気です」と高揚感を伝える。29歳の若きホースマンにとっても、ダービーは人生の分岐点となった運命の舞台。ついに当事者として参戦する。

 初めて見たダービーは02年タニノギムレット。管理する松田国英厩舎には父・友道康夫師が技術調教師として身を置いていた。それから14年後、父の管理馬マカヒキの雄姿を東京競馬場で目の当たりにした。「なかなかダービーは勝てなくて。家族として凄くうれしかった」。当時、友道助手は大学生。進路を決めかねていたが「父の背中、担当の大江さんの姿を見たら、やっぱり格好良い仕事だなと。憧れました」。進むべき道がくっきりと見えた。

 その秋、マカヒキの凱旋門賞挑戦に同行。滞在したフランス小林智厩舎のツテで、のちに英国の名門R・ヴェリアン厩舎でも研さんを積んだ。「管理馬が約300頭。集団調教の頭数が桁違いでした。アイルランドやフランスへの遠征、トレーニングマシンや温泉のようなスパ、最先端の物理療法など凄く勉強になりました。そういうつながりもつくってくれたマカヒキには感謝しかありません」。

 大学卒業後、牧場勤務を経て22年から高柳大厩舎に所属。ミュージアムマイルとは昨年5月に出合った。第一印象は「優等生」。古巣であるノーザンファーム空港・高見厩舎の育成馬で「縁がある馬なので気に掛けていた」が、全く手が掛からなかった。無駄な消耗をしないオンオフの切り替え、操縦性の高さ、そして「これまで感じたことがなかった」というギアの上がり方。特別なモノを感じた。

 憧れの舞台に平常心で臨めるのは愛馬への信頼の証。「僕が緊張しても仕方ないので調教はいつも通りに…ですね。幸いにも凄く乗りやすいし、変なことを考えなくていいので助かります。本当に心強いです」。ダービーでは皐月賞直前に「頑張ってこいよ」と背中を押してくれた父もライバルになる(管理馬ショウヘイが出走)。その父の隣で口取り写真撮影に加わった、マカヒキのダービーから9年。今度は自らが手がけるミュージアムマイルの隣で歓喜に包まれる時が来た。

 ◇友道 優一(ともみち・ゆういち)1996年(平8)2月13日生まれ、滋賀県出身の29歳。大学卒業後にノーザンファーム、白井牧場などで経験を積み、22年にトレセン入り。アイルランドのM・ハルフォード厩舎や英国のR・ヴェリアン厩舎でも腕を磨いた。父はダービー3勝の友道康夫師。趣味はダーツ、乗馬。座右の銘は「失敗を恐れない」。