2025.06.06

スポニチアネックス

【安田記念】シャンパンカラー 復活気配漂う 田中剛師自ら最終追い騎乗し体調UP実感

 春のマイル王決定戦「第75回安田記念」の出走馬が5日、決まった。23年NHKマイルCの優勝馬シャンパンカラーに復活気配が漂う。最終追いに騎乗した田中剛師(64)も手綱を通して体調アップを実感している。安田記念は厩舎の大先輩ロゴタイプが16年、前年の年度代表馬モーリスを破って復活Vを飾った縁起のいいG1。9年前の再現を狙っている。また、今年3月開業の井上智史師(43)はモーリス産駒のホウオウリアリティでG1初参戦。いきなりビッグタイトル獲得なるか、注目が集まる。同レースは、6日に枠順が確定する。

厩舎周りで運動するシャンパンカラー(撮影・郡司 修)

 シャンパンカラーの手綱を通して、9年前の再現に手応えを感じ取っていた。田中剛師は騎手時代、平地&障害の二刀流として活躍。64歳を迎えた今も精力的に調教に乗り、管理馬の把握に努めている。

 4日の最終追いも自ら騎乗した。坂路4F51秒3はこの日、堂々の1番時計。「今の状態なら時計は出ると思っていました。前2戦も良くなってきた…と感じていたが、今回はそれ以上。気持ちも楽になったので、体も動くんでしょう」と笑顔が広がった。

 3歳春の23年NHKマイルCでG1初制覇。あれから2年余。一時は2桁着順が続いたが、前走・ダービー卿CT(6着)で復調の手応えをつかんだ。出負けしたが直線は外から鋭伸。トップハンデ58・5キロを背負い、勝ち馬トロヴァトーレから0秒3差だった。

 「着順以上にいい内容でした。(昨年4月チャンピオンズマイル後)しっかりと休ませたのが良かった。社台ファームで静養し、山元トレセンで乗り込んで、連携の成果だと思います」

 4歳までは背中から背筋に疲れが出やすかったという。「重度の傷みは外見で分かることが多いですが、小さな症状は乗って初めて気付くこともあるんです」。肌で接して本調子ではないと察知し、英断した約8カ月間の充電が復活の原動力になりつつある。

 安田記念は厩舎の大看板ロゴタイプが16年、復活の逃走Vを飾った思い出のレース。13年皐月賞以来、3年2カ月ぶりの美酒。同じ社台ファーム生産馬だった。「あの時は(安田記念連覇が懸かる)モーリスをみんな見て動くだろうと…。(鞍上の)田辺君にはハナに行けるようなら、負けてもいいから、後ろを見ずに動いてくれと話したんです」。作戦はズバリ。2番手を追走したモーリス周辺の馬は全く動けず、内ラチ沿いをまんまと逃げ込んだ。

 騎手時代、1日300回の腹筋をこなした指揮官は今も週1回の走り込み&筋トレを欠かさず、現役時並みの体形を保ち調教に励んでいる。ロゴタイプとは違い、シャンパンは強烈な瞬発力が武器。全3勝を東京マイルで挙げている。「Wコースと併用し、今回は坂路でも乗り込めるぐらい良くなっています。東京のマイルは一番合う。それに他の馬たちと同じ重量で出られる。思い切った競馬をしてほしい。楽しみです」。雨に躍ったNHKマイルCから2年。偉大な先輩も舞った初夏の府中の輝かしい思い出が指揮官によみがえっていた。

 ◇田中 剛(たなか・つよし)1961年(昭36)2月13日生まれ、東京都出身の64歳。79年3月、美浦・柄崎義信厩舎から騎手デビュー。通算5253戦364勝(うち障害207勝)。重賞は80年中山大障害・秋(カチウマタロー)、95年東京新聞杯(ゴールデンアイ)など13勝。10年10月厩舎開業。JRA通算161勝。重賞は11年中山大障害(マジェスティバイオ)、12年朝日杯FS、13年皐月賞、16年安田記念(いずれもロゴタイプ)、23年NHKマイルC(シャンパンカラー)など11勝。