2025.06.09
スポニチアネックス
【安田記念】ジャンタルマンタル 復活マイル王!川田 歴代最多4勝目
春の最強マイラー決定戦「第75回安田記念」が8日、東京競馬場で行われ、2番人気ジャンタルマンタルが直線で抜け出しG13勝目を挙げた。鞍上の川田将雅(39)は21年ダノンキングリー以来の勝利で、安田記念単独最多の通算4勝目。NHKマイルC優勝馬の安田記念Vは史上初となった。同馬は米G1ブリーダーズCマイル(11月1日、デルマー)の優先出走権を獲得した。

強いジャンタルマンタルが帰ってきた。昨年のNHKマイルC以来、約1年ぶりに先頭で駆け抜けた府中のゴール板。「久々にこの馬らしく走ることができた。1年ぶりにここに戻って来られてホッとしています」。川田はお立ち台で安堵(あんど)の表情を浮かべた。ゴールの瞬間は珍しく右手で力強いガッツポーズ。「長年、体のメンテナンスで支えてくださる方に“次にG1で勝ったらガッツポーズをしてくれ”とお願いされていましたので、それに応えたいなと思ってやりました」。鞍上はそう理由を明かしたが、スタンドに向けた人さし指には“この馬が一番”の思いが込められていた。
好スタートを決め好位3番手を確保したが、3角手前で外から主張したロングランと接触。内へ押し込められる形になった。「かなりエキサイトしてどうなるかと思ったが、よく我慢が利きました」。だが、迎えた勝負どころの手応えは決して芳しくない。「4角の雰囲気はすごく動ける感じではなかった」が、それも杞憂(きゆう)に終わった。直線は馬なりで加速。残り200メートルで先行2頭に並んだところで左ステッキ1発。右手に持ち替えて2発で勝負あり。「動かしてみると、これだけの動きができた。あの競馬でよくこんな強い勝ち方ができたな…と。改めて素晴らしい馬だなと感じながらの直線でした」。最後は必死に迫る2着ガイアフォースを寄せ付けず、1馬身半差をつけての完勝だ。
昨秋初戦に予定していた富士Sは熱発のため回避。ぶっつけ本番で挑んだ香港マイルは13着に大敗した。7カ月ぶりの実戦に加え、初の海外で調整もうまくいかなかった。今春は目標を安田記念一本に絞った。高野師は「計画的にこちらの課した調教メニューを全て注いで、加減なく思った通りの調整ができた」と胸を張った。万全の態勢で迎えた大一番。「しっかり馬体の張りが出ていた。筋肉が透けているくらい。人間を寄せ付けない雰囲気もあったが、装鞍所の姿は完璧だった」。愛馬の鬼気迫る気配に勝利を確信していた。
「NHKマイルCを勝った時に、この馬が日本で一番のマイルの馬になると実感した。こうして改めて証明する走りをしてくれたと思います」。川田は相棒をそう称えた。今後は海外を含めた大舞台へ、期待は膨らむ。高野師は優先出走権を獲得したブリーダーズCマイルへの参戦について「海外を含めて協議をしていきたい。可能性はゼロでない」と話した。日本で一番のマイラーは、さらなる高みを目指す。
ジャンタルマンタル 父パレスマリス 母インディアマントゥアナ(母の父ウィルバーン)21年3月21日生まれ 牡4歳 栗東・高野厩舎所属 馬主・社台レースホース 生産者・北海道千歳市の社台ファーム 戦績8戦5勝(重賞4勝目) 総獲得賞金5億435万円 馬名の由来はインドにある天体観測施設。