2025.06.23
スポニチアネックス
【府中牝馬S】セキトバイースト重賞初V! 強い向かい風のタフな条件も浜中「精神力で走ってくれた」
東京開催を締めくくる「第73回府中牝馬S」は5番人気セキトバイースト(牝4=四位)が初めての重賞タイトルをつかんだ。

乱世の三国時代を駆けた赤兎馬(せきとば)のごとく、混戦のハンデ重賞に断。首級を挙げたのはウサギのような俊敏さで抜け出したセキトバイーストだ。呂布、ではなく、鞍上の浜中は「直線は向かい風が強くてタフな条件だったが、この馬の精神力で走ってくれた」と笑顔を浮かべた。その闘争心は1日で千里を駆けたとされる伝説の名馬を想起。初タイトルの優勝レイを背に、誇らしげだった。
強風が吹き荒れたこの日の府中。好位でそつなく迎えた直線だったが、そこには巨大な風の壁が待ち構えていた。最初から最後まで前に馬は置かず、モロに逆風を受け続ける形。すぐに呼吸が苦しくなるが、歯を食いしばって伸びる。他の先行勢が失速する中、力強く戦場を走り抜けた。浜中は「行く馬がいなければ先頭でもと思っていたが、あくまでこの馬のリズムを優先した。(前走からコンビを組み)追ってからしぶとく伸びてくれるのは知っていたので」と振り返った。
24年チューリップ賞2着、ローズS3着と早くから頭角を現した素質馬。いくつか大敗も経験したが、前走都大路Sからの連勝で完全に軌道に乗った印象だ。四位師は「いい内容で強かったですね。もう上積みはないかもと思っていたが、今週の追い切りの動きは良かった」と説明。改めて愛馬の奥深さを知った様子だった。真夏のような暑さでの激戦を終え、指揮官は「もちろん休ませます。秋に向けて賞金を加算できたのが大きい」と、数カ月後の大舞台を見据える。年明けから5戦の長き戦いを終え、一時の休養へ。秋には一騎当千の走りで、G1平定を目指すことになるはずだ。
◆セキトバイースト 父デクラレーションオブウォー 母ベアフットレディ(母の父フットステップインザサンド)21年1月30日生まれ 牝4歳 栗東・四位厩舎所属 馬主・TNレーシング 生産者・北海道新ひだか町のタイヘイ牧場 戦績14戦4勝(重賞初勝利) 総獲得賞金1億4192万1000円 馬名の由来は赤兎馬+東。