2025.09.12

スポニチアネックス

坂口調教師&久保調教助手 幼なじみコンビがビザンチンの凱旋門賞を後押し

 【競馬人生劇場・平松さとし】7日、フランスのパリロンシャン競馬場でG1ムーランドロンシャン賞が行われた。日本からはゴートゥファースト(牡5=新谷)が参戦し、JRAでも馬券発売があったため、多くのファンが注目したことだろう。残念ながらゴートゥファーストは11着に敗れた。しかし、同じ日に行われたG2フォワ賞ではビザンチンドリーム(牡4=坂口)が見事、優勝を飾った。

ビザンチンドリームを引く久保助手(手前)と坂口師(右)=撮影・平松 さとし

 同馬を管理する坂口調教師は調教助手時代、エイシンヒカリでG1香港カップやフランスのG1イスパーン賞を制した経験を持ち、ビザンチンドリームもサウジアラビアのG2レッドシーターフハンデキャップに続く海外重賞制覇。国際舞台との縁の深さを改めて印象づけた。

 その坂口厩舎で日々、ビザンチンドリームに寄り添うのが久保潤一郎調教助手だ。19年の厩舎開業時から支えるスタッフだが、2人の関係はさらに古い。坂口調教師が「ジュン君」と呼ぶ久保助手との出会いは、なんと保育園にまでさかのぼる。

 「ジュン君のお父さまは元騎手で元調教助手、僕の父は調教師。同じトレセンで育ったので出会いは保育園でした」

 いわば“竹馬の友”だったのだ。2人は共に寡黙だったこともあり、昔から気が合ったという。

 「僕が開業するのと、ジュン君のいた厩舎が解散するのがたまたま同じタイミングでした。だから僕から誘って厩舎に来てもらったのです」

 そんな幼なじみが二人三脚で挑んだフォワ賞。G1凱旋門賞の前哨戦であり、距離も競馬場も本番と同じ。かつてエルコンドルパサー、ナカヤマフェスタ、オルフェーヴルといった名馬たちがこの道を経て挑み、欧州最高峰の舞台で栄光に迫る2着に好走した。

 今回のビザンチンドリームは、そんなプレップレースで前年の凱旋門賞3、4着馬のロスアンゼルスとソジーを相手に完勝したのだから次に見据えるのはもちろん、欧州最大の頂となる。幼なじみがつないできた絆が、いま凱旋門のゲートを押し開こうとしている。 (フリーライター)