2026.04.02
スポニチアネックス
原優介の“言語化能力の高さ”は乗馬未経験が原点
日々トレセンや競馬場など現場で取材を続ける記者がテーマを考え、自由に書く東西リレーコラム「書く書くしかじか」。今週は美浦取材班の菊地一(24)が担当する。3月21日にフラワーCをスマートプリエールで制し、重賞初制覇を飾った原優介(25)を取材。さまざまな角度から誰からも愛されるジョッキーの人物像に迫った。
「おはようございます!」。元気のいいあいさつが美浦トレセンに響き渡る。声の主は、フラワーCで念願の重賞初制覇を飾った原優介。「重賞では2着を繰り返していたので、このまま2着を続けちゃうんじゃないかなと思っていたところは正直あった。本当に勝てて良かったです」。25歳の若武者は安堵(あんど)の表情で喜びを語った。
競馬とは無縁の家庭に生まれた原。母の影響で少年時代は水泳に没頭。将来の夢は「水泳の先生」だった。それが次第に「騎手」に変わっていった。自分に合った職業とは?そこで導き出した結論だった。「当時、競馬ゲームにハマっていたというところと、お金が良くて夢のあるスポーツ。体を動かす仕事というところで、自分には向いてるんじゃないかなって思った」。高校を1年で中退し、騎手の道に進んだ。
乗馬未経験からスタートした騎手人生。当初は、幼い頃から乗馬を習っていた同期との差を痛感したというが、心が折れることはなかった。「未経験が故に、自分でも分かるくらい成長していましたし、乗馬と競走馬は違う。同じスタートラインで競走馬に乗り始めたので、何とかなるんじゃないかなというのは(競馬学校)2年生くらいの時に思い始めました」。向上心を絶やすことなく研さんを積む日々。初勝利は同期4人の中で最も遅かったが、地道に歩みを進め、重賞45回目の挑戦で初タイトルをつかみ取った。
乗馬未経験が幸いして身につけた長所がある。それは取材を通じても感じた“言語化能力の高さ”だ。「競馬学校時代、未経験が故に教官が言っている言葉の意味がよく分からなかった。騎乗している人にしか分からない説明だと、理解してもらえないんだろうなと感じ、言語化する大切さを知った。そこから努力し始めて今の僕に至るという感じですね」。自身が経験した“もどかしさ”を感じさせないように、感覚を言葉で表現する努力を積み重ねてきたという。実直な人間性が垣間見えた瞬間だった。
プライベートでは23年に結婚。昨年1月には長男が誕生した。今後の目標を尋ねると「父として、子どもに“お父さんカッコいい”と言ってもらえるように。奥さんに“いい旦那さんだよ”と言ってもらえるような人でありたいなと思ってます」とにっこり笑った。まだ1歳の愛息が物心ついた時に“お父さんカッコいい”と言ってもらうために。原はこれからも日々精進していく。
◇原 優介(はら・ゆうすけ)2000年(平12)6月10日生まれ、東京都出身の25歳。20年3月デビュー。同4月5日の中山12Rタイキダイヤモンドで初勝利。JRA通算3518戦111勝(うち重賞1勝)。1メートル58、47キロ。血液型B。趣味はゴルフ、サウナ、家庭菜園。
◇菊地 一(きくち・いち)2002年(平14)3月25日生まれ、東京都出身の24歳。ディープインパクトと生年月日が一緒。趣味は野球観戦、ゴルフ、料理。