2026.04.20
スポニチアネックス
【皐月賞】鈴木康弘氏 ロブチェンが体現 坂上で突き放した“蒸気機関車”
【鈴木康弘 達眼解説】血で走るサラブレッド。皐月賞でロブチェンが体現したのはアイアンホース(蒸気機関車)と呼ばれた母の父ジャイアンツコーズウェイの走りでした。4角では外からベタマークしていたリアライズシリウスほどの手応えがない。直線入り口では馬体を並びかけられた。ところが、競り合ってからが強い。坂上では逆に突き放しました。四肢を軽やかに伸ばすしなやかさとは逆の走り。馬体を丸めるようにして溜(た)めをつくった特大の筋肉パワーで押しまくる。鉄の大車輪を激しく回転させて加速し続ける蒸気機関車のような走法です。
ジャイアンツコーズウェイは3歳時の00年に先行策で英愛G15連勝。ゴール前でライバルを力任せに競り落とすのが勝ちパターンでした。ロブチェンの松山騎手はもちろん母の父のレースぶりを意識したわけではないでしょうが、ハナをとったのは大正解でした。前残りになりやすい高速馬場。仮柵設置(Cコース使用)で傷みの少ない内ラチ沿いを走れるメリットも生かしました。序盤に少しハミの掛かりがきつくなったが、すぐにリラックスできた。始動時だけ空転する蒸気機関車みたいに。ジャイアンツコーズウェイは直訳すると「巨人のあぜ道」。まさに芝コンディションの良いインコースを「あぜ道」にして3歳春の大きな収穫を得ました。
1カ月半後に迫るダービー。私はライヒスアドラーが蒸気機関車の強敵になるとみています。先行有利な競馬を中団から3着まで追い込んできた。道中折り合えれば、あの末脚は東京コースでさらに威力を発揮できるでしょう。カヴァレリッツォは最内枠から馬群の壁をつくっても引っ掛かった。体形からもマイルのほうが合うでしょう。
ともあれ、今年のダービーは、皐月賞のダメージを取り切れるかが一番のポイントになります。レコードタイムが出る硬い馬場で死力を尽くしました。発展途上の3歳馬には大きな負担となったはずです。キ甲が未発達の皐月賞馬も例外ではありません。いかにケアして大一番を迎えるか。トレーナーの腕の見せどころです。(NHK解説者)