2026.07.22

スポニチアネックス

【関屋記念】萩原清師から継承 ダノンセンチュリーの素質引き出す宮田敬介師

 日々トレセンや競馬場で取材を続ける記者がテーマを考え、自由に書く東西リレーコラム「書く書くしかじか」。今週は東京本社の高木翔平(36)が担当。今週の関屋記念に出走するダノンセンチュリーは、5月20日に死去した萩原清師の元管理馬。才能の原石を受け継いだ宮田敬介師(45)は特別な思いを持って向き合う一頭となる。

宮田敬介調教師

 精鋭ぞろいの宮田厩舎の中でも特別な存在感を放つ馬がいる。4歳牡馬のフィエールマン産駒ダノンセンチュリーだ。重賞未勝利の身だがキャリア7戦で3度、32秒台の上がり3Fをマーク。宮田師は「ステレンボッシュ(24年桜花賞V)、ゾロアストロ(26年きさらぎ賞V)ともまた違った迫力がある。たくさんいい馬を預からせていただいていますけど、ちょっとこの迫力は凄いなと」と舌を巻く。ホースマンなら誰もがほれ込むスケール感。5月に死去した萩原師が手塩にかけた素質馬だった。

 気性に難しさも抱えるため、転厩後は探り探りのアプローチ。それだけに宮田師は萩原厩舎の凄みを知ったという。「うちに来ては、まだ単走がメイン。でも萩原厩舎の時は併せ馬をしていたんですよね。よくこの馬で併せ馬ができていたなと。改めて技術力の高さ、凄さを感じます」。当時のスタッフに話を聞き、萩原厩舎時代の調教VTR、レース映像をつぶさにチェック。5月には転厩馬のステレンボッシュ(元・国枝厩舎)を久々の好走(エプソムC2着)に導いた経験も自信に日々、向き合っている。師は「うちに来てからは、うちのカラーに慣れてもらうように。ステレンも最初は森林馬道を歩けなかったですが、慣れて今はリラックスして歩けている。(センチュリーも)どんどんなじんできていると思いますよ」と笑顔を見せた。

 ロジユニヴァース(09年ダービー)、ノームコア(19年ヴィクトリアM、20年香港C)など数々のG1馬を手がけた萩原師。宮田師にとっては生前の交流が確かな財産となっている。「馬の話をたくさんしたし、セリでも馬の見方を教えていただいた。本当にお世話になった」。中でも強烈な印象として宮田師に刻まれたのはその探究心だという。「開業したばかりの自分に“宮田君はどんな調教をしているの?”と聞いてくるんです。それはうれしかったし、あれだけのトレーナーですよ。飾り気がなく、ただただ探究心があるんだなと驚きました」

 この中間、ダノンセンチュリーはトモの左右差が順調に改善。1週前追い(Wコース)は5F66秒2~1F10秒7と転厩後で一番の動きだった。宮田師は「しまいが10秒7で向正面の奥まで流したけど、これだけ動いても馬はへっちゃら。実は春くらいに、たまたま北海道の牧場で萩原先生とお会いして、夜はお寿司をごちそうになった。その時もたくさん馬の話をしました。本当に馬を大切にする方で、それはダノンセンチュリーを見てさらに伝わってきた」と目を細める。血をつなぐ宿命の下で駆けるサラブレッドたち。だが、その走りは人の思い、生きざまも次世代に継承していく。

 ◇宮田 敬介(みやた・けいすけ)1980年(昭55)10月8日生まれ、茨城県出身の45歳。小学生の頃に見た90年有馬記念(オグリキャップ)に感動して競馬の世界を志す。JRA通算1285戦167勝、重賞7勝(21日現在)。23年エリザベス女王杯(ブレイディヴェーグ)でG1初制覇。

 ◇高木 翔平(たかき・しょうへい)1990年(平2)生まれ、広島県出身の36歳。15年入社で23年から東京本社予想を担当。BSイレブン出演中。