2026.09.30
スポニチアネックス
【凱旋門賞】アドマイヤテラ 近藤旬子オーナー「夢のようなレース。楽しみ」
日本のホースマンの夢と希望を背負って――。フランスG1「第105回凱旋門賞」は10月4日にゲートインを迎える。日本から参戦する重賞2勝のアドマイヤテラを所有するのは、大阪・北新地の「Priv.Ayaka」のオーナー・ママでもある近藤旬子氏。先代への思い、夢舞台への熱い胸の内に迫った。 (聞き手・入矢 美奈)
――凱旋門賞への挑戦はいつ頃から意識していたか?
「去年の夏ぐらいから国内で出走させるか、メルボルンCか凱旋門賞かっていう3つの選択肢がありました。凱旋門賞は、やっぱり一番の目標というか、夢のようなレースだったので。友道先生に打診をしてOKしていただき、凱旋門賞に向かうことにしました」
――凱旋門賞を直前に控えた率直な気持ちは?
「フランスへいい状態で行けたということも聞いておりますし、今も凄くいい状態だということで、とても楽しみにしております」
――オーナーにとってどのような意味を持つ舞台か?
「先代の近藤利一は出走したことがないということを聞いておりました。やっぱり引き継いだ以上は、大きいレースに挑戦したいなっていう思いもありました。今はもう本当にとても楽しみです」
――これまでの凱旋門賞で印象に残っているレースは?
「今までは自分が行かない分、あまり見ていませんでした。でも、去年のクロワデュノールはちゃんと見ました。3年ぐらい前から意識して凱旋門賞を見るようにしていました」
――アドマイヤテラを初めて見たときの印象は?
「21年2月7日にちょうど馬が生まれたということで、北海道まで見に行きました。かわいくて、きゃーきゃー言っていました」
――アドマイヤテラ(冠名+地球=ラテン語)という馬名はどのような経緯で付けられましたか?
「宇宙系、星系から名前を決めていることが多いのですが、意外と“テラ”って付けられていないことに気付いて、これはいいなと思いました。いろんな方に聞かれるので皆さまにも気に入っていただけていると思います」
――母アドマイヤミヤビというゆかりのある血統で、凱旋門賞に挑戦することへの思いは?
「とても思い入れがあります。先代が亡くなった時にちょうど引き継ぎましたので、そういう思いもありまして。ずっと期待を込めていた子だったので。配合もいろいろ考えたっていうのもありますね。なので、そういう意味での思い入れはとてもあります」
――鞍上がC・デムーロに決まった経緯は?
「フランスの、地元の騎手の方がいいんじゃないかということは、いろんなお話を聞いておりました。私もそのように感じましたし、それでC・デムーロ騎手に騎乗していただければいいなということを伝えてはいました。難しいと思っていたんですが、騎乗していただけるって聞いて、とってもびっくりしましたし、うれしかったです」
――馬主を引き継ぐことを決めた理由は?
「馬主になるって決めた時の前はあんまりそういう感覚がなかったんですけど、(先代が)病気されて亡くなられたので、先代が築き上げてきたアドマイヤがなくなるのは寂しい気持ちが強くなり、存続することに決めました。引き継いで良かったですね」
――「アドマイヤ」の馬は海外G1でも活躍していますが、思い出に残っているレースは?
「アドマイヤマーズが優勝した香港マイル(19年12月)は(先代が)亡くなられて1カ月もたたないうちのレースでした。ですので、ちょっと何も分からず香港に行って出走して、訳も分からずに優勝してから始まっているんですね。何かがあるんだろうなと感じました。アドマイヤデイトナ(25年UAEダービー)もまさか勝つと思っていなかったので、もうそんなことばっかりです。なので、この2頭は思い出に残っていますね」
――験担ぎでされていることはありますか?
「(駐車の)バックをしないとか。レースの前にはご祈祷(とう)に必ず行っています。あとは、枠順の枠の色とかを身に着けるとか、枠の数字は凄く気にします」
――今後の競馬界の女性活躍に期待することは?
「まだまだやっぱりね、男性社会だろうなと思うので、日本も女性の総理大臣でもあったりするので、男女分け隔てなくあってほしいなと思います」
――馬主としての今後の夢は?
「ダービーは勝ちたいなと思います。もちろんクラシック、G1はやっぱり勝ちたいですね。アドマイヤカレンダーを作っているので、毎月メインの写真になるような大きなレースを勝ちたいです」
◇近藤 旬子(こんどう・じゅんこ)「アドマイヤ」の冠名で知られる故近藤利一さんの妻。先代が19年11月17日に死去し、相続馬主となる。自身の名義での馬主資格は20年7月に取得。同月19日、アドマイヤジャスタで函館記念を優勝し、重賞初制覇。24年朝日杯FSをアドマイヤズームで制し、G1初制覇を飾った。阪神馬主協会会員。大阪・北新地の「Priv.Ayaka」のオーナー・ママ。
【取材後記】近藤オーナーは大阪・北新地の「Priv.Ayaka」のママ。りんとした着物姿のたたずまい、華やかなオーラに目を奪われた。一方で話をうかがうと関西の経営者らしく、どこかほっとするような親しみやすさも感じた。取材中はこちらの目を見てにこやかに言葉を交え、自然と体を向けて話してくださる。そんな一つ一つの所作から長年、人と向き合ってきた方ならではの温かさを感じた。「お店の子には心遣い、相手の方への気遣いは必要だと思います」。その言葉が目の前の姿と重なった。
取材中、先代の話をされる際には時折、言葉を詰まらせ、目を潤ませていた。誰かをしのび流す涙は不思議と力に変わる。トレードマークでもある着物もアドマイヤの勝負服と同じ青に新調したという。先代から託された夢を胸に、青い着物で海を越える。フランスの地で、あの日こぼした涙が歓喜の涙に変わることを願っている。 (入矢 美奈)