2026.10.23
スポニチアネックス
【菊花賞】記憶に残る荒々しい3冠馬ミスターシービー
【競馬人生劇場・平松さとし】今週末、京都競馬場では菊花賞が行われる。ここで史上9頭目の3冠馬に挑むのがロブチェン(栗東・杉山晴紀厩舎、松山弘平騎手騎乗)だ。
過去8頭の3冠馬のうち、私が競馬を始めてからリアルタイムで活躍を見たのは、ミスターシービー、シンボリルドルフ、ナリタブライアン、ディープインパクト、オルフェーヴル、コントレイルの計6頭。それぞれに思い出深い菊花賞ではあったが、とりわけ強烈な印象を残しているのがミスターシービーだ。
それ以前の3冠馬は、1941年のセントライトと64年のシンザンだけしかいなかった。ミスターシービーが誕生した83年まで、約20年おきにしか3冠馬は現れていなかったのだ。実際、私が競馬を見始めてからは一頭も出現しておらず、今以上に希少価値を感じていた。
そんな時に現れたのがミスターシービーだった。両親は、同じ新馬戦でデビューしていたトウショウボーイとシービークイン。つぶらな瞳と見栄えのする奇麗な馬体とは対照的に、その競馬ぶりは豪快そのものだった。常に最後方から追い込み、皐月賞と日本ダービーを制覇。菊花賞でも、2周目の向正面に入った時点ではシンガリだったのに、「動いてはいけない」がセオリーだった3コーナーの上り坂で一気に2番手まで進出した。そして、ラスト600メートルを残してハナに立つと、そのまま先頭を譲らずゴールイン。直前は夏バテでかなりのダメージがあったらしいが、いつにも増して豪快な走りで、19年ぶり史上3頭目の3冠馬となってみせたのだ。
さて、そんなミスターシービーだが、実は乗り運動中に担当者を振り落とすほど激しい気性の持ち主でもあったそうだ。
その荒々しさも含めて、強い3冠馬は人の記憶に深く刻まれる。では今年、その聖域に挑むロブチェンは、どんな走りで私たちを魅了してくれるのか。果たして、史上9頭目の3冠馬となれるのか。25日、淀の3000メートルに注目しよう。(フリーライター)