2026.07.23
レッドスパーダの関屋記念
今週末、新潟競馬場では関屋記念(GⅢ)が行われる。
このマイル重賞を2013年に制したのが、レッドスパーダだった。
管理したのは伯楽・藤沢和雄調教師。そして、このとき最終追い切りに騎乗したのは、藤沢厩舎で腕を磨いていた杉原誠人騎手だった。追い切り後、杉原騎手は落ち着いた口調でこう語っている。
「前走同様、良い状態だと感じました。中間は放牧に出すことなく厩舎で調整していましたが、好走した反動などは感じませんでした」
その言葉どおり、レッドスパーダは前走のパラダイスSを快勝。実に約3年5カ月ぶりとなる、2010年東京新聞杯(GⅢ)以来の勝利を挙げていた。
もっとも、その実力は以前から折り紙付きだった。さらにさかのぼること4年前の2009年NHKマイルC(GⅠ)では、ジョーカプチーノの2着に好走。当時、藤沢調教師はこう振り返っている。
「前走(スプリングS2着)後は熱発もあって、決して順調とは言えませんでした。それでもGⅠでこれだけ走ってくれました。本質的に現状は左回りの方が力を出せるみたいですね」
関屋記念に挑んだ時点で、レッドスパーダはすでに7歳。しかし、その”サウスポー”ぶりは健在で、この時点で挙げた全5勝のうち4勝が左回りでのものだった。
関屋記念を前に、藤沢調教師は自信をのぞかせていた。
「今回は坂路を中心に乗り込みましたが、やはり左回りはいいですね。それにマイルという距離も、この馬にはベストでしょう」
一方で、周囲からは7歳という年齢を不安視する声も聞かれた。しかし、その問いに伯楽はきっぱりと言い切った。
「結構、使ってきた馬ですが、常に状態を見極めながら大事に使ってきましたからね。7歳でも元気いっぱいですよ」
そして、笑みを浮かべながらこう付け加えた。
「3歳でNHKマイルCを走った頃と、変わらないですよ」
その言葉は決して強がりではなかった。
レースでは、後に天皇賞・秋(GⅠ)をはじめ国内外でGⅠ3勝を挙げるジャスタウェイを2着に退け、レッドスパーダが7歳で見事な重賞制覇を成し遂げたのである。
レース後、藤沢調教師は穏やかな笑みを浮かべながら、こんな言葉を残した。
「馬は、無理をさせず大事に使っていれば、年齢を重ねてからでも走ってくれるものですよ」
私はそのひと言を、今でも昨日のことのように覚えている。
そして、その言葉は翌年にも証明される。レッドスパーダは2014年の京王杯スプリングC(GⅡ)も制覇。8歳で自身初のGⅡタイトルを手にしたのだった。
年齢は衰えの証ではない。積み重ねてきた日々と、馬を信じ抜いた人の手があれば、その先にも輝きは待っている。レッドスパーダの軌跡は、競走馬の可能性に終わりはないことを、今なお私たちに教えてくれている。
(撮影・文=平松さとし)