2026.01.21
スポニチアネックス
【追憶のAJC杯】07年マツリダゴッホ 名手が折り合いを教えて初重賞制覇 “中山の鬼”最初の一歩
藤沢和雄元調教師と並んで、長く美浦を支えてきた国枝栄師が26年2月をもって定年引退する。
国枝師が管理した代表馬といえば、大多数のファンは「アーモンドアイ」の名を挙げるだろうが、ベテラン記者にとっては何と言ってもマツリダゴッホだ。
来ると思えば来ない。来ないと思えば来る。07年有馬記念。ダイワスカーレット、ダイワメジャー、ポップロック、メイショウサムソンと強豪そろう中、9番人気で快勝し、国枝師自身が最も目を丸くしたのは今も語り草だ。
そんなマツリダゴッホの初重賞制覇を振り返っておきたい。年末の1600万下(現3勝クラス)、クリスマスCを快勝して臨んだ年明けの4歳初戦。インティライミに続く2番人気だった。
そのインティライミが飛ばす展開。4角手前では6馬身ほどの差をつけた。ここでただ1頭、ギアを上げてインティライミを追ったのがマツリダゴッホだった。
直線を向いたところで先頭に立つ。後続の目標になりやすい展開。だが、ジャリスコライト、シルクネクサスはともに差を詰め切れない。坂上でインテレットが飛んできたが時すでに遅し。5馬身差、はるか前方でマツリダゴッホが悠々と重賞初制覇のゴールを決めていた。
ゴールの瞬間、ぺろりと舌を出した横山典弘。「ちょっと派手に勝ちすぎたかな」と笑顔を見せた。
「少し行きたがる気性だけど今までで一番、折り合いがついた。仕掛けてからの反応も抜群で、あとは前を捉えるだけという感じだった」
札幌の新馬戦で7馬身差の圧勝デビュー。だが、エンジンに気持ちが追いつかなかった。2番人気の青葉賞で4着に敗れ、ダービー切符を取れず。セントライト記念は落馬競走中止で菊花賞出走もかなわなかった。
そんな悩める大器に折り合いを教え込んだのが横山典だった。年齢を重ねて、馬も精神的たくましさを増し、この重賞初制覇につながった。
この一戦を含めて中山の重賞を6勝するマツリダゴッホだが、そのスタートがこのAJC杯だった。
「ジョッキー(横山典)のおかげだよ。このレースぶりなら今後も安心して見ていられる」。そう語った国枝師だが、果たしてその年の有馬記念で表彰台に立つところまで想像していたかどうか…。予期せぬことが起こるから競馬は面白い。