2026.01.23

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武豊と桜冠に輝いたダンスインザムード

 【競馬人生劇場・平松さとし】19日、ダンスインザムードがけい養先の社台ファーム(北海道千歳市)で息を引き取った。

ダンスインザムードで04年桜花賞を制した藤沢和雄師(左)と武豊(撮影・平松 さとし)

 父はサンデーサイレンス。姉にオークスなどG1を2勝したダンスパートナー、兄には菊花賞馬ダンスインザダークを持つ、まさに名門血統の牝馬だった。

 美浦・藤沢和雄厩舎から03年12月にデビュー。2着に6馬身差をつける圧勝劇を演じた。

 「他の競馬場にいたのでテレビで見ていましたが、これは相当強い馬だと思いました」

 そう語ったのは、後に名コンビを組むことになる武豊騎手だった。2戦目も危なげなく勝利すると、続くフラワーC(G3)ではその天才騎手を背に3連勝。一躍、桜花賞(G1)の本命候補へと躍り出た。

 当時、武豊騎手はこの馬の調教に騎乗するためだけに、何度も美浦を訪れていた。

 ここで8年前に話はさかのぼる。96年、藤沢和調教師はバブルガムフェローを天皇賞・秋(G1)へ送り出した。その際、初コンビを組んだ蛯名正義騎手(現調教師)を、あえて一度も調教にまたがらせなかった。理由を藤沢和師はこう語った。

 「バブルは少し癖がありました。調教で乗ることで、そのイメージを実戦まで引きずるのが嫌でした」

 裏を返せば、ダンスインザムードがいかに癖のない、素直な馬だったかが分かる。武豊騎手も、こんな言葉を残していた。

 「自分としても事前に乗っておきたかったので良かったです。最終追い切りは芝コースで古馬2頭の間に入る形でしたが、全く臆することなく走りました。『大した牝馬だ』と感じました」

 桜花賞当日。他の関東馬6頭が全て馬体重を減らす中、ダンスインザムードだけが前走比プラスで出走。結果、2着に2馬身の差をつけて完勝した。

 ちなみに、レジェンドが美浦へ足を運ぶたびに天候が崩れ、藤沢和厩舎のスタッフから「豊さんは雨男ですね」とからかわれていたのも良い思い出だ。

 ダンスインザムードよ、今はただ、安らかに眠ってほしい。

 (フリーライター)