2026.02.27
スポニチアネックス
【手記】作田誠二氏 “愛弟子”藤岡佑介にエール「騎手は人間性が大事。そこが生きたんじゃないかな」
喜びも悲しみも、たくさん経験した騎手人生だった。G1・2勝を含むJRA通算1109勝を挙げ、来月から調教師に転身する藤岡佑介(39)が28日の阪神で騎手としてのラストデーを迎える。競馬一家で育ち、04年のデビューから重圧や葛藤と闘い続けた22年間。最後の華やかな表舞台に立つ。藤岡の成長を見守ってきた師匠・作田誠二氏(76)が手記を寄せ、騎手としてのキャリアにピリオドを打ち、新たなステージを迎える弟子にエールを送った。
私もJRAに育ててもらった身。調教師になった時に、いつか弟子を育てて恩返ししたい気持ちがあったんです。競馬学校から話があって佑介の名前が挙がり、私の厩舎に所属することになりました。初めて会ったのは競馬学校の入学式当日。その時からきちんと私の目を見て、向き合って話ができていました。素直な子だな、というのが第一印象。人に好かれる性格で、そこは騎手になってからも変わらなかった。活躍しても天狗(てんぐ)になることなく、プライベートも派手ではないし、よくできた子です。騎手だからもちろん技術的なことはいろいろあるけどトレセンは人と人のつながりで成り立っているから、まずは人間性が大事。そこが生きたんじゃないかな、と思います。
2年目に通算100勝で減量が取れて、早く自立した方がいいと思ったので「フリーになった方がいいぞ」と勧めました。それで4年目の3月にフリーに転向。佑介自身はまだ所属していたい気持ちがあったみたいだけど騎手は這(は)い上がらないといけないですから。いいタイミングだったと思います。デビューする時に「自分で考えて乗るように」と、それだけ言って送り出しました。最後まで自分のスタイルを貫いたと思いますよ。
調教師もそれぞれ個性があるので私が特にアドバイスをすることはないけど彼を見ていると、いい厩舎をつくりそうですね。スタッフを大事にしつつ言うことは言う、汲(く)むべきことは汲む。状況に合わせて、うまくやっていくのではないでしょうか。皆さん、また応援してやってください。
競馬に乗るのは、あと1日。明日は私も阪神に行きます。声をかけるとすれば「よく頑張った」。このひと言に尽きます。厳しい世界で1100を超える勝ち星を挙げて、これだけ勝てるジョッキーはひと握り。ただ、勝ったからといって勘違いしても良くない。だから厩舎に所属していた頃はあまり褒めたことがありません。面と向かっては言いづらいけど今はただ褒めてやりたいですね。(元JRA調教師)
◇作田 誠二(さくた・せいじ)1949年(昭24)3月7日生まれ、青森県出身の76歳。馬事公苑騎手養成課程(長期)の同期に岡部幸雄、福永洋一、柴田政人ら。68年に東京・見上恒芳厩舎所属で騎手デビューし、その後、栗東に移って93年の引退までにJRA通算2830戦218勝。調教助手を経て95年に調教師免許を取得し、翌年開業。主な管理馬はワイルドソルジャー(04年名古屋グランプリ)、ハードクリスタル(06年東海S、ブリーダーズゴールドC)、サンディエゴシチー(09年札幌2歳S)など。JRA通算4604戦291勝(うち重賞2勝)。20年3月3日に定年引退を迎えた。